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2013年2月 3日 (日)

ガザ紛争のドキュメンタリー映画

朝から晴れて寒い土曜日を迎えているニューヨーク。今晩から明日に掛けても雪が降る可能性があるらしく、寒い週末になりそうです。

さて、今回は昨晩友人に誘われて出掛けたドキュメンタリー映画『Where Should the Birds Fly?』のスクリーニングイベントについてです。

昨晩のスクリーニングは、パーソンズ美術大学(Parsons The New School for Design)内の劇場で行われ、無料で誰でも参加できるというもの。
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たまたまボランティア仲間が監督であるFida Qishta氏と知り合いだったため誘ってくれました。Fida Qishta氏はパレスチナ人の女性でパレスチナ問題を取り扱ったドキュメンタリー映画が上映されるという事と、監督に直接お会いする機会があるという事に惹かれ夫と出掛けました。

『Where Should the Birds Fly?』は主に2008年12月21日から2009年1月17日までの22日間、イスラエルの攻撃により少なくともパレスチナ側に1,300人の犠牲者が出たガザ紛争について取り扱っています。が、Fida Qishta氏は3年前にニューヨークで暮らし始める迄ガザ地区に暮らしており、自前のカメラで細々と映像を撮り貯めていたため、それ以前にイスラエル軍が報復としてガザ地区の住宅をブルドーザー(とニュース等で報じられていますが、実際に映像で見ると戦車みたいな車体です)で壊す様子等も収められています。

国連人道問題調整事務所(OCHA)が、パレスチナ自治区ガザ地区のガザ市近郊のザイトゥン地区で2009年1月5日、イスラエル軍が約110人のパレスチナ人市民を1軒の住宅に集めた上でそこに戦車で複数回砲撃を行い、子供を含む約30人が死亡したと発表した事件がありました。が、それに類似する虐殺が他にも行われていたようで、同じようにイスラエル軍の命令に従い住宅に集められた女性・子供を含む民間人(農民)がミサイル砲によって殺害された事件で、両親や親せきを目の前で失った女の子のインタビューが後半のメインテーマになっていて、ガザ紛争が実際どのようなものだったのかということを断片的に知ることができました。
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Fida Qishta氏が実際にイスラエル軍の砲撃の直後に通りや病院で撮影した映像には、四肢がちぎれ飛んだり、頭部が潰れたり、体中に穴が開いていたりする大人や子供の遺体が写っていますし、通りが血だらけで遺体が無造作にそこら辺に転がっている映像も映し出されます。病院では全身に怪我を負った男の子の体や、小さな子供の遺骸に縋り付く親御さんの姿が映し出されます。

映画自体は1時間だったのですが、それより長い時間見ている感覚に陥りました。ガザ紛争についてはニュースで聞いたり読んだりしていたし、死者が出ている事実も認識していたにも関わらず、自分がいかに無知で無関心であったかが痛感されて吐き気がする位でした。映像が残酷なせいではなく、自分達の無関心が起こしてしまっているのかもしれない悲劇が怖くて。

映画の後は質疑応答の時間が設けられ、監督や監督を指導した教授等が質問に答えました。その中で「近年、メディアで扱う映像の倫理性についての議論が盛んに行われているが、映画の中で子供の遺体等を映すことに躊躇しなかったか。倫理性について何かご意見がありましたら教えてください」という質問が出されました。

それに対しFida Qishta氏は、「ガザ地区の住民に撮影許可を求めた際に彼らの多くが口にした事が答えだと思っています。それは『我々の苦しみや悲しみが世界の人々に知られないことによって無い事として扱われる事が耐え難い』というもの。自分自身、撮影中体が震えていましたし、編集作業を続けることが精神的に苦痛で耐えがたいと思ったこともありました。だからこそ、この作品の中では笑いや幸せも意識的に取り入れています。でも、知ってもらうことの大切さを考えて、敢えて残酷な映像も残しました。」と回答。

もう一人の10分程のショートフィルムを制作したやはり若い女性の監督も、「私は最近のメディアは残酷な表現を避けるあまり、メディア空間自体が消毒された無菌状態の様になり、その結果ニュースを受け取る側に人々の苦しみや悲しみが伝わらないという問題が起きていると思う。ガザで1,300人の人が殺害されたというニュースを聞いても、写っている映像が夕日を背負った雄々しいイスラエル兵だとしたら、殺害された人達の苦しみや被害の甚大さにまで思いを馳せる人は少なくなる。そういう意味では、残酷な映像を避ける事によってメディアは真実を伝えていないのであり、それは即ちメディアの怠慢であると思う」と回答していました。
013この1時間のフィルムを作る為に使われた映像を収めたフィルムは、パレスチナ人である監督やその友人ではガザ地区を出る際の荷物検査で全て没収されてしまうため、アメリカ人の友人や教授が協力して、何回かに分けて運び出すことに成功したそうです。ガザ地区への出入には約60時間掛かるそうで、情報統制と物流統制の熾烈さも非常に印象に残りました。

長い質疑応答が終了して帰る際には流石に涙は止まっていましたが、映画を観終わって質疑応答を聞いている間にも涙が出てきて本当に困りました。あまりにも凄い内容だったので、映画の後は神経性の腹痛に悩まされる始末でしたが、夫と2人で見に来て本当に良かったと言い合いました。

今後、このドキュメンタリーを広めるために資金を募っているという事だったので、懺悔の気持ちも込めて1枚ずつTシャツを購入してきました。ボランティア仲間も購入して、応援していました。

このドキュメンタリーを、なるべく多くの地域で、なるべく多くの人に見てもらうために努力していくということでしたので、日本でも是非上映されて欲しいと願っています。スクリーニングの開催については1-(212) 473-8933に電話するかhttp://www.deepdishtv.org./Home/を見て情報を得れば良いようです。

『Where Should the Birds Fly?』についての紹介記事はこちら(いつまで読めるかは解りません)。

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