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2014年10月29日 (水)

遠い太鼓

朝焼けが美しかった水曜日のニューヨーク。今週末はもう11月なのだと、昨日ボランティア仲間と話していて初めて気付きました。バタバタとしている内に、時間があっという間に過ぎてしまうので驚いてしまいます。

今朝はハワイのキラエウア火山から流れ出した溶岩が民家に到達しそうなために避難が呼びかけられている事がニュースになっていました。なんでも今年6月に噴火したらしいのですが、溶岩のコースが変わって民家が飲み込まれそうだとの事。

ただ、流れは非常にゆっくりなので、自宅の様子を見たりしながら避難することができるそう。また、現時点では強制避難勧告が出ている訳ではないようで、人身に被害は及ばない見通しの様です。朝からいきなり溶岩の話で少し驚いてしまいました。
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さて、今回は昨晩カーネギーホール(CARNEGIE HALL)内のザンケルホール(Zankel Hall)でアメリカ初演されたミュージカル『A Distant Drum』(遠い太鼓)の感想です。
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カーネギーホールでは今シーズン南アフリカの音楽を紹介する『UBUNTU: Music and Arts of South Africa』フェスティバルを開催しています。昨日、アメリカ初演を迎えたミュージカル/劇『A Distant Drum』はUBUNTUフェスティバルの一環としてカーネギーホールが依頼して制作された作品。

実在の人物Nat Nakasa氏の人生をアフリカ音楽、クラシック、、ジャズを融合したような不思議な音楽に乗せて3人の俳優さんが約2時間に渡って休憩なしで演じるというものでした。チケットをプレゼントしてもらったので、夫と2人で楽しんできました。

最近2人とも忙しくて芸術から遠ざかりがちでしたが、南アフリカの事を全く知らないため興味があった事、最近アフリカ音楽とクラシック音楽を融合した音楽を気に入って聞いていた事、アパルトヘイトや1960年代の知識が無いため知りたいと思った事、を理由に昨日は時間を作って出掛けることにした訳です。
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私はあまり現代クラシック音楽が好きでない傾向があるので、今回のミュージカルも音楽にはあまり期待していなかったのですが、実際に聴いてみたら生の演奏と録音されたアフリカ音楽が見事に融合していて演奏に惹き込まれました。物語は田舎から南アフリカ最大の都市、ヨハネスブルクに夢見がちな青年Nat Nakasa氏が使い方を知らないテニスラケットとタイプライターを抱えて移り住むところから始まり。

1960年代に南アフリカのマンハッタンと呼ばれていたヨハネスブルクでも地位を築いていた『Drum』という雑誌の記者として活躍しながらニューヨークを夢見る様が、影の様に付き纏う白人警官との辛辣なやり取りの中で語られます。そんなナカサ氏にアメリカ人のゴッドファーザーがハーバードでの学資を出資するから留学しないかと持ちかけ。

南アフリカ共和国はナカサ氏にパスポートを発行しなかったため、出国の許可だけを持って二度と祖国には戻れないと知りながらアメリカに渡りました。が、実はゴッドファーザーはCIAのエージェントで、アメリカが冷戦を勝ち抜くために利用価値があると考えたジャーナリストや芸術家をアメリカで教育するという計画の一環で。
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ナカサ氏はハーバード大学を卒業したものの、監視下に置かれて自由に身動きが取れず。また南アフリカには冷戦が飛び火しなかったため利用価値が無いと判断されたためかアメリカ滞在ビザも延長されず。

自国には帰ることができない、アメリカの滞在ビザも切れてしまうという何処にも居場所が無い状態に陥り。その頃市民権運動で盛り上がっていたニューヨークでは、『そもそも人種に拘りたくない』という時代の先を行くリベラルな考えのナカサ氏は「黒人らしくない」、「アフリカ出身者らしくない」、「プライドが足りない」と非難され。

次第に酒に溺れるようになり、鬱症状が進み、28歳の若さで生涯を終えてしまうという悲しいストーリーでした。高い建物から落下したのですが、自殺だったのか酔っていたための事故なのか分からず終い。遺体は長らくニューヨーク州に埋葬されていたそうですが、死しても祖国に戻れないのは不憫だとの事で、最近祖国に埋葬されなおされたそうです。
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救いのない、気の重くなる内容でしたが、ミュージシャンも俳優陣も素晴らしく、観劇後はとても満足感がありました。何の関係もないのですが、大好きなエッセイ集『遠い太鼓』(村上春樹著)を思い出したりもしました。

祖国から遠く離れニューヨークに暮らしながら観ると、状況は全く違うとはいえ感じるものもあり、色々考えてもしまいました。

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