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映画・テレビ

2018年6月15日 (金)

映画『FIVE SEASONS: THE GARDENS OF PIET OUDOLF』

青空が広がる金曜日のニューヨーク。今日の予報は晴れ。最高気温は24℃です。これから来週の火曜日にかけて暑い日が続くようです。月曜日の最高気温は36度まで上がる予報ですので、熱中症に気を付けて過ごしましょう。

2018年6月14日(木)~17日(日)までの間、ニューヨークにある3つのレストランにおいて難民として暮らすシェフに活躍の場を与える『Refugee Food Festival ✱ New York ✱ 2018』が開催されています。Taim Nolitaは昨日終わってしまいましたが、土曜日・日曜日には其々イラン料理やシリア料理をコースで味わいつつ、難民問題に寄与することができます。去年は体調が悪くて行きそびれてしまったので、今年こそ足を運べますように。
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さて、今回は2018年6月13日~6月21日(木)までIFC Centerで上映されているドキュメンタリー映画「FIVE SEASONS: THE GARDENS OF PIET OUDOLF」の初回上映に足を運んだ徒然です。
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毎週のようにハイラインを通り抜けるうちにすっかりPIET OUDOLF氏のファンのようになっている私。ハイラインのガーデンに関する本もいただきましたし、興味を持ってバテリーパークのガーデンを見物に行ったりもしました。
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シカゴを旅行した際に、彼の手掛けたLurie Gardenをきちんと見に行かなかったことを後悔しても時すでに遅し。旅行を有意義なものにできるかどうかって、結構知識量や経験値に左右されますよね…。
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最近も毎週のようにハイラインを通り抜けつつ、変わりゆく風景を楽しんでいますし。ピエト・オードルフ氏の講演を聴く機会を得たこともあり、彼のデザインを知る前とはガーデンの見方が変わったことを実感しています。
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そんな時、ニューヨークでインディペンデント系の映画を多く上映するグリニッジヴィレッジにある単館映画館『IFC Center』で、彼のガーデンデザインを取り上げたドキュメンタリー映画が上映されると知り、早速チケットを購入しました。当該ドキュメンタリー映画は、ハイラインにおいて無料で上映されたと思うのですが、偶々その日は用事で足を運べず残念な思いをしたのです。
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IFCセンターで映画が上映される際には、オープニングナイトに監督や主演俳優さんがQ&Aをやることが多いのですが、『FIVE SEASONS: THE GARDENS OF PIET OUDOLF』の初回でも映画監督であるThomas Piper氏とピエト・オードルフ氏が登壇し、司会をハイラインの園芸部門の責任者であるAndi Pettis氏が務めると知り、初回のチケットを購入。水曜日の夕方足を運びました。
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上映開始時間は午後5時半だったので5:15に到着したら、既に1ブロックを占拠する勢いの長蛇の列。ハイラインのアンディさんも、「今日の分3回共全部売り切れなんですって!凄いね!」と驚きを隠せないようでした。
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私は列の後ろの方だったので冷や冷やしましたが、一番後ろの隅になんとか席を確保。お隣はガーデンデザインを学んでいる学生さんのようでした。
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映画は75分。先ず監督のパイパー氏とハイラインのアンディさんから挨拶があり。映画の上映後にピエト・オードルフ氏も含めた3人が登壇してQ&Aとなりました。
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タイトルの5シーズンのままに、秋~翌年の秋までのオードルフ氏が住むオランダにあるご自宅の庭、ニューヨークのハイラインおよびバテリーパーク、シカゴのローリー・ガーデン、イギリスのHauser & Wirth等のガーデンを紹介しつつ、オードルフ氏のデザインの過程、キャリアの概要、各ガーデンのメインテナンスの方法、デザインの理念、インスピレーションを得るための視察の数々が紹介されています。

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見に行く前は、綺麗な映像の数々にうっとりする感じの映画なのだろうと想像していたのですが、そしてそれは勿論当たっていたのですが。想像以上にオードルフ氏の乾いた笑いのセンスが散りばめられいて、くすっと笑う場面が多くありました。
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しかし見終わった後は、なんとなく自分を大きく見せない、地に足の着いた、コツコツとやれることをやってきた人が語る飾り気のない言葉がいつまでも頭に残って、自分の背中をそっと支えてくれるような、そんな力のある映画だった気がします。
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ガーデニングやランドスケープデザインに興味がある人が見た方が意味があるとは思いますが、そうじゃない人が見ても楽しめそうです。キャリアに迷っている人、やりたいことがあるけれど踏み出すのに迷っている人、完ぺき主義に陥りがちな人には、琴線に触れる映画な気がします。
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ガーデンに植えられた植物が風を受けて揺れる様や、太陽を透かして浮き上がる様も本当に美しかったですし。季節の移り変わりや天候の変動等による光の変化によって、ガーデンが移ろっていく様が捉えられていたのも素敵でしたし。オードルフ氏が着想を得ようと、米国各地の自然保護区に足を運んでは写真を撮影していた風景も、彼らの目を通すとこんなにも美しいのかと感嘆しました。
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最後のQ&Aで、隣の学生さんが「ガーデンデザインを学んでいる者です。もし貴方が30年前の自分に声を掛けるとしたら、なんて言いますか?駆け出しのデザイナーにアドバイスはありますか?」と質問して。オードルフ氏の答えは、「植物を知ること。デザインの前に植物を知り、其々の特性、何処で成長して、どんな土壌を好んで、日陰や日向を好むのかを学び、どんな過程を経て成長して枯れていくのか-時々のフォルムを学び、香りや色を学ぶこと。その後で初めて実用的な、メインテナンス可能なデザインができると思う」と仰っていました。
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それに対して、アンディさんも「あと、ピエトがよく言ってたのが、うじうじ言ってないで取り合えず試してみること。駄目なら他の物を植えればいい。あと、コントロールし過ぎないこと。人と同じで植物もやりたいことをやって、生きたい場所で生きるんだって。」と笑ってらっしゃいました。
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映画の後には、ピエト・オードルフ氏が頻繁に使用する植物を特性ごとにリストした絵葉書を配っていました。ガーデンデザインやガーデニングをする方には興味深い情報ですよね?
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映画を見た後には、余計に植物に興味が湧きました。あと1週間ほど上映しているので、お時間が許す方は是非。

2018年3月 5日 (月)

ポッドキャスト『THIS MOVIE CHANGED ME』

青空が広がる月曜日のニューヨーク。今日の予報は1日晴れで、最高気温は7℃です。ただ、水曜日の真夜中から木曜日の朝にかけて、また雪が降る可能性があるため注意が喚起されています。以下に送信された注意報を添付致しますので、ニューヨークにお住まいの方はご注意ください。

Notification issued 3/5/18 at 3:45 AM.

The National Weather Service has issued the following:
What: Winter Storm Watch
Where: Citywide
When: 3/7, 12:00 AM to 3/8, 6:00 AM
Hazards: Potential for significant amounts of snow, sleet or ice. Strong winds are also possible. Roads may be dangerous.
Preparedness Actions: Use caution when walking, biking, or driving.
Before an Outage
- Charge cell phones
- Gather supplies
- Turn refrigerator/freezers to a colder setting
During an Outage
- Stay clear of downed power lines
- Turn off all appliances
- Keep refrigerator/freezer doors closed to prevent food spoilage
- Do not use generators indoors
- If you have a disability/access needs, or use Life Sustaining Equipment (LSE) and need immediate assistance, dial 911.

Please visit www.weather.gov/okx/

金曜日の暴風で、電線が切れたり、施設が浸水したりで、月曜日の現在でも1,000世帯以上が停電したままとのこと。週末中に多くの世帯が復旧したようですが、いまだに復旧作業が続いているそうです。また水曜日に雪が降るなんて大変ですね…。ラジオや非常食を準備したり、携帯電話等を充電したり、冷蔵庫/冷凍庫の設定を低温にしたり。万が一に備えて、色々準備しておいた方が良さそうです。
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さて、今回はポッドキャスト『THIS MOVIE CHANGED ME』です。
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以前『On Being』で聞いたエピソードについてこのブログで書きました。それ以来、家事をしつつポッドキャストを聴く際に、『On Being』を聴いています。去年の春頃から体調が芳しくないので語学の勉強を止めてしまい、外国語のニュースやプログラムを聴くのをさぼり続けているので、代わりに興味が向いたポッドキャストやラジオを聴いている訳です。

ブレネー・ブラウン氏のエピソードが面白かったので、『On Being』も気が向いた時に聴いていたら。『On Being Studios』という『On Being』を制作しているスタジオが、新しいプログラムをリリースしたと予告編を流しました。
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新しいプログラムの名前は『THIS MOVIE CHANGED ME』。名前の通り、映画は人生に必要な事を教えてくれると信じているプロデューサーが、2週間に1回、各界で活躍する人にお気に入りの映画を1つ挙げてもらい、当該映画について30分程2人で語り合うというシンプルな内容。

まだ今年リリースが始まったばかりのプログラムなだけに、現在聞くことができるエピソードは3個。それらのエピソードで取り上げている映画は:①スターウォーズ、②ナイトメア・ビフォー・クリスマス、そして③ユー・ガット・メール、です。
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最近は腰痛で座っていられないために映画を全く観なくなってしまいましたが。日本で生活していた8年前迄は毎週のように映画館に通う程、結構映画が好きな人間で。しかもスターウォーズは、観ているだけで乗り物酔いの症状を呈してしまって、気持ち悪くなるので観たことがありませんが。あとの2つの映画は、私が大好きな映画だっただけに、このプログラムが気に入って早速購読を始めました。

スターウォーズは観たことがありませんが、あまりに有名なのであらすじは知っていますし。大好きな物について話す人って、それだけで聴いていて面白いんですよね。加えて、大好きなシーンについて語っているのを聴いていると、大事な場面でもなんでもない、なくても良いようなシーンが挙げられていたのも、凄く納得がいく感じがありました。そうなんだよね!大事でもなんでもない、何気ないシーンが凄く心に残るんだよね!って、ニヤニヤしながら聴きました。そう思われませんか?
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ナイトメア・ビフォー・クリスマスのポッドキャストでは、雑誌などに寄稿している作家さんがこの映画から学んだこととして、「人は誰しも、その人が一生のうちに犯した最大の罪や、最高の功績によってまとめられてしまうべきではない」と仰った言葉が心に残りましたし。

「多くの人が勘違いしているのは、幸せは状態を指す言葉ではなく、感情を指す言葉だということ。だからずっと、絶え間なく幸せでいることは不可能。でも必ずやってくる幸せに気付き、感謝し、また次の幸せを待ち望むことの大切さに気付くこと。仕事をしていて幸せを感じられないからといって、直ぐに止めてしまわない事の大切さに気付くこと」という言葉は、私も正に幸せは状態だと勘違いしていたので、目から鱗が落ちた気分でした。
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そして作中で、ジャック(ハロウィーンランドのパンプキンキング)がクリスマスランドを乗っ取ってしまうのは、正にCultural appropriation(文化の盗用)だと言っていたのも興味深かったです。私はどうにもこの手の社会学的な概念に弱く。近年度々話題に上がる、Cultural appropriationという概念がイマイチ理解できないでいます。その為、改めて調べてみたり、考えてみたり。結果、今でもよく解らないのですが、考えるきっかけをくれる、ただ楽しいだけではないポッドキャストでもあると感じました。

ユー・ガット・メールは、私の大好きな映画の1つ。1998年の公開だったそうです。もう20年も経ったんですねぇ…。メグ・ライアンとトム・ハンクスが主演したマンハッタンを舞台にしたラブコメだと思っていたのですが。このポッドキャストでは、「ラブコメではあるんだけど、人が抱える孤独とそれ故に感じる漠然とした、でもどうしようもない憧れについての物語」だと感じたという事が語られています。
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2人の会話を聴いていたら、初めて何故自分がこんなにまでユー・ガット・メールが好きで、1回しか観ていない映画を覚えているのか、8年前マンハッタンに住み始めた際にロケ地を巡ったのか、が理解できた気がしました。勿論、会話の軽妙さ、ある種理想化された(ポッドキャストの中では2人とも「こんなマンハッタンは存在しない。架空のアイディアとしてのニューヨークと言っていますが)、でも私の受けるニューヨークの印象を煮詰め結晶化させたようなマンハッタンという舞台、はっとするような音楽と人物設定も魅力的です。

所々で映画の台詞が挿入されているのですが、ユー・ガット・メールからはメグ・ライアンが書いたメール「Sometimes I wonder about my life. I lead a small life - well, valuable, but small - and sometimes I wonder, do I do it because I like it, or because I haven't been brave? So much of what I see reminds me of something I read in a book, when shouldn't it be the other way around? I don't really want an answer. I just want to send this cosmic question out into the void. So good night, dear void.」が流れました。
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この台詞(書いているE-mailがナレーションで流れる)自体は覚えていなかったのですが、ポッドキャストで聞いた途端、心が溶けそうでした。そして無性にこの映画が観たくなりました。

これからも、エピソードがリリースされるのが楽しみです。

2018年1月31日 (水)

映画『SATURDAY CHURCH』

皆既月食とスーパームーンとブラッドムーンが同時に観測できる水曜日のニューヨーク。たった今(午前6時後半)観測できているらしいのですが、残念ながら私達のアパートの窓からでは見えません。がっくり。現在は-7℃ですが、午後2時以降は氷点下から脱して、最高気温は2℃まで上昇する予報です。雲が出るようですが、雨は降らないようですので、昨日使った傘は干して片付けられます。

今朝は、昨晩行われた一般教書演説(State of the Union Address)の話題でもちきりです。今後1年間のこの国の行方を占う大事な演説なので、通常であれば聞くようにしていたのですが。今年は夫が出張から帰宅してバタバタしていた事もありましたが、どうせコロコロと言っていることが変わるんでしょ、という気分に支配されて全然聞きませんでした。ボランティア仲間の誰も話もしませんでしたし。

ニューヨークでは、自分達で自身が聞きたい一般教書演説をコメディアン等が繰り広げるイベントが行われたりして、相変わらず現政権への怒りが収まらない状態。今まで一般教書演説の日には皆で集まって演説を見たり、家で聞くという人達が殆どで、その熱心さに感心したものでしたが、今年はそんな様子が見られませんでした。一方で、投票資格を取得する人がぐんと増え、政治参加への責任感は高まっていると言われています。これからこの国はどうなるのでしょう…。

一般教書演説にあったインフラの整備については是非実現して欲しいのですが。お仲間である共和党が大反対ですし、早速専門家が「財源がない」と一刀両断しているので、前途多難です。そんなこと言ったって、必要だと思うのです。是非やってくれ!と念を送っています。
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さて、今回はニューヨークを舞台にした映画『SATURDAY CHURCH』の感想です。
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この映画はDamon Cardasis氏の長編映画初監督作。Damon Cardasis氏は、ご自身も俳優として活躍される傍ら、脚本家、ディレクター等としても活躍されてきたとの事。

ニューヨーク市は、ニューヨークで制作、撮影される映画やドラマを振興するためプロジェクトを立ち上げて応援していますが、この映画もその一環として支援を受けたようでクレジットが入っていました。舞台がニューヨークだけあって、見覚えがある風景が次から次へと登場するので、ニューヨークが好きな人は場所を特定する楽しみもあります。
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全編で82分という短くさくっと終わる可愛らしい映画は、しかしゲイの黒人の青年が、性に目覚めると同時に周囲からの拒絶と強制に苦しむ重いテーマを扱っています。サタデー・チャーチとは、実際にニューヨークのウエストヴィレッジにある教会で行われている、ホームレスおよびLGBTQの若者を対象とする文化交流および支援プログラムをモデルとしています。この教会は庭が好きで頻繁に訪れますが、このプログラムの存在は知りませんでした。だから教会の入り口にレインボーフラッグが掲げられているんですね。

単館映画で大々的に宣伝されていたわけでもないこの映画は、好きな劇団の座長さんがフェイスブックでお薦めしていたため、たまたまボランティアが終わった後に時間がある日だったこともあり、ふらりと鑑賞に行きました。平日の午後早い時間の上映だったのでがら空き、それでも10人弱の観客はいました。
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私個人としては観て後悔はありませんが、凄く出来の良い映画とか新たな発見があるという訳でもありませんでした。LGBTQの若者の自殺率が異性愛者の若者に比べて倍であるとか、ホームレスになる確率が高いとか(失業率が高かったり、親に追い出されるケースが多かったり)、それなりの知識はあったので、新たな事実に目を見張るといった感じはありませんでした。

しかし、主役の14歳の黒人の青年を演じた役者さんがとても魅力的で説得力がありましたし。彼を導く、クリストファー通りにたむろっている先輩トランスジェンダーやゲイを演じた役者さん達も、演技がどうこうというより、存在が魅力的に映りました。母親役の俳優さんも、なかなか素敵でした。
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ただ、主人公が現実から逃避するために空想の世界で自分が主役になるシーンで、いきなり至る所でミュージカル仕立ての演出が始まるのですが。そのきっかけがなんだか不自然で、何となく映画に入り込めなかったり。割とあっさりと終わるので、え?と置いてけぼりを食ったような気分になったり。

小さな可愛らしい作品だとは思いますが、色んな人に熱心に薦めようという気分にもならない感じでした。ただ、性自認や性的趣向に悩む若者には、今は八方塞に思えても命を絶たないことを力強いメッセージで伝えることができて、制作された意味はある作品だと思います。
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若い時は、家族と学校の友達という狭い世界に囚われて、一生その呪縛から逃れられないように感じてしまい、自分の居場所が見つけられなくて苦しむ若者も多いでしょう。そんな若者に「今が全てじゃないよ」、「世界の何処かにありのままのあなたを受け入れ、愛してくれる人達がいるよ」というメッセージを送るのは、きっと意義あることなのでしょう。

もう既にどこの劇場でも上映していないようですが、ストリーミングで配信されているようですので、大学生位になったお子さんとかと見て多様性について話し合ったりするのにピッタリな映画ではないでしょうか。
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懐かしいニューヨークの風景をたっぷり楽しみたい、という方にもお勧めです。

2017年10月26日 (木)

NYフィルムフェスティバルで『Joan Didion: The Center Will Not Hold』

まだ真っ暗な木曜日のニューヨーク。暗すぎてよく分かりませんが、どうやらまだ曇っている様子。午前中は雨が降ったり止んだりで、午後からは曇り所により晴れという予報です。最高気温は16℃。明日・明後日は晴れるようなので、ハロウィーンイベントに繰り出す方は土曜日にした方が良さそうです。

本番のハロウィーンは来週の火曜日ですが、イベントの多くは今週末に行われます。ガバナーズアイランドに1,000個のかぼちゃが集結するイベント『Night of 1,000 Jack O'Lanterns』はチケットが高いのがネックですが興味が湧きますし。お子さんがいらっしゃる方はハイラインの『Haunted High Line Halloween』は無料で楽しめます。以前行ったら地味だったものの、無料で散歩のついでに楽しめるという意味では、セントラルパークの『Halloween Pumpkin Flotilla』も捨てがたい。ブルックリン植物園でもイベントが開催されます。私は土曜日丸1日ボランティアを入れてしまったので、日曜日に行ける行事を見つけて足を運びたいと思っています。
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さて、今回は2017年9月28日~10月15日まで開催されていたニューヨーク・フィルム・フェスティバル(The 55th New York Film Festival)でドキュメンタリー映画『Joan Didion: The Center Will Not Hold』を観た感想です。
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このドキュメンタリー映画は、作家/エッセイスト/脚本家であるディディオン氏の生涯を彼女の甥っ子であるグリフィン・ダン(Griffin Dunne)氏が監督して映画化したもの。実際彼もインタビュアーの1人として登場します。

ジョーン・ディディオンは、アメリカでは有名な小説家・エッセイストで、ライターである夫のジョン・グレゴリー・ダンと二人三脚で映画を製作したり、晩年には自身の作品を原作とした舞台の脚本を担当したりして、とても知名度があります。その為、今回ニューヨークで暮らす様になって自然と彼女の事を認識しました。
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でも興味を持ったのは友人の1人が熱狂的なファンだから。彼女のフェイスブックページをフォローし、本をすべて読み、人生の辛い局面で悩む友達には彼女の著作を薦め。頻繁にディディオン氏に触れるので、自然と読んでみようか…と数冊の著作を読みました。

しかしながら、私が読んだのはたまたま自叙的な作品で。あまりピンと来ずに格別彼女に傾倒することも無く現在に至りました。個人的に彼女が資産家の家系である夫と過ごしていた優雅な日常に対して反発心もありましたし。友人が何故、彼女にそこまで心酔しているのか理解できずにいました。
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そんな折、今年のニューヨーク・フィルム・フェスティバルで彼女のドキュメンタリーが上映される事を知り、興味が湧いて足を運びました。当該ドキュメンタリーは3回上映がありましたが、私は夜出掛ける事をなるべく避けているので、週末の昼間に上映される最終回に足を運びました。

ネットで予めチケットを予約しておき窓口で受け取るWill Callを選択して、当日窓口に赴くと既に完売したチケットを求めて人々が列を成していました。やっぱり彼女に興味を抱く人は多いんですね。
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ドキュメンタリー映画自体は、後日ネットフリックスでも配信されるようなので手軽に見る機会があると思われるのに、わざわざ会場に足を運んで観たいと思われる程、ディディオン氏の何かが人の興味を惹きつけるのを不思議に思いつつ鑑賞し。今は彼女のジャーナリスティックな本を是非読んでみたいと思うようになりました。

映画では、彼女の生い立ちからヴォーグでコンペティションに優勝してエッセイストとして働き始めた経緯や。ジョン・グレゴリー・ダン氏との夫婦関係。娘であるクインターナさんを養子として迎え、育てる様子。2人を失い、失意に沈みながらも(生きる気力を失い食べ物を口にしなくなって骨と皮のように痩せ細った姿も捉えられています)、その自身の感情をエッセイに認める作家魂(それが私が読んだエッセイです)。そういった彼女の生活・人生にも触れていますが。
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私が興味を惹かれたのが、彼女のジャーナリストとしての成長と功績部分でした。ヒッピームーブメントがもてはやされていた時代に、ドラッグの蔓延や行方不明になる人が続出している現実を克明に本に描き出して警鐘を鳴らしたり。アメリカ政府の介入によって南アメリカがどれほど苦しんでいるのかをルポするために、自身も現地に乗り込んだり。黒人青年数人が白人のジョガーを集団レイプした事件をセンセーショナルに報じるマスメディアを痛烈に批判する作品を発表したり。
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彼女はいつの時代もその他大勢に流されず、風潮に左右されず、ニューヨークタイムズやニューヨーカーといった『社会の良心』を体現していると思われている(そして自分で思っていそうな)大マスコミにも粛々とNOを突きつけ。ジャーナリストとして、かなり有能で魅力的な人だったのではと強く感じました。

それ故に、複数の友達が彼女に強く興味を抱き、尊敬しているのだろうと思うに至り。是非、彼女のルポ作品を読もうと心に決めました。
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蛇足ですが、晩年の彼女が散歩している様子が作中に出てくるのですが、私が好んで足を運ぶセントラルパークのコンサバトリーガーデンやベセスダテラス、ザ・ポンド等で。自分の暮らす環境がとても幸運なことなのだと改めて認識し、夫に感謝しました。ニューヨークは、憧れの人達が暮らす場所だという意味でも魅力的なんですよね。
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こうやって新しい作品に出会ったり、新しい事実を学んだりできるのはフェイスブックの長所ですね。日常の些末なことばかりでなく、きちんとニュースや心動かされた作品、問題意識を持っている事物について書いてくれる友達に感謝です。

2017年10月 6日 (金)

映画『アンレスト』

曇っている金曜日のニューヨーク。こんなに曇っているのに予報では晴れ時々曇り。降水確率も10%と低いです。本当でしょうか?今日も最高気温が27℃まで上がる予報で、湿度が高いのでムシムシと暑くなりそうです。

昨日の朝ノーベル文学賞が発表されましたね。カズオ・イシグロ氏が受賞して、彼の作品が好きなので嬉しかったです。彼の新作を読んでいなかったので、これを機に読もうかという気にさせてもらいました。ラジオを聞いていたら「何故Haruki Murakamiはノーベル文学賞を受賞できないのか?」という話しをしていて、アメリカでもこんな話題が出るんだなーと改めて彼の人気の高さを認識した日でもありました。
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さて、今回は映画『UNREST』(不安)の感想です。
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この映画は先日『コロンバス』を観に行った際に予告が流れていた事で初めてその存在を知り。慢性疲労症候群を題材としたドキュメンタリー映画と知って強く興味を抱き、帰宅後早速調べたところ、上映がたったの2日間でした。そこでスケジュールをやりくりして、朝からIFCセンターに足を運び鑑賞してきました。

『アンレスト』は、慢性疲労症候群をご自身が患っている女性Jennifer Brea氏が、自分自身を写し、ベッドの上でスカイプやソーシャルメディアを通じて知り合った世界中の他の患者さん達をネットを通じてインタビューして創り上げた映画です。医学的にも正確な内容になるように、医師、科学者等の専門家のインタビューも差し挟まれますし、理解が難しい所はCGを使って説明もされています。
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他の患者さんのドキュメンタリー部分は、健康な映画クルーが世界中に飛んで撮影。ジェニファーさんの自己ドキュメンタリーやスカイプを通じたインタビューが多いですが、自主製作映画という訳ではなく、きちんと制作チームがいる手が込んだ作りになっています。

とは言え、立つこともできず床を這いずり回るような時にもご自身を撮影するジェニファーさん。痛みにのたうち回る姿が映されていたりして、見るのがとても辛い内容ではありました。
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ジェニファーさんは、とても活発な女性で世界中を見てみたいと願っていたとの事。実際CNNのレポーターのような事もやっていたようですし、旦那様とカヌーをしたり、異国を旅したり。慢性疲労症候群を発症した時には、ハーバードの博士課程の真っただ中。旦那様と結婚する直前の幸せな時期だったそうです。

インフルエンザに罹り高熱が出たのをきっかけに、立つこともままならないように。最初は「期末試験のストレスでしょう」と診断されるばかり。でも全然症状が改善しないため、自分達でリサーチしたり、違う医療機関を巡る内に慢性疲労症候群(chronic fatigue syndrome: CFS)だと診断されました。
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慢性疲労症候群は医学的にも定義が定まっておらず、従って研究も進んでいない病気。未だに精神病の一種だと信じている医者も多いそうで、一般的な認識も「気の病」だと思われがち。そのため患者は辛い症状だけでなく、経済的な問題や社会の偏見とも戦う事を強いられます。

世界中に慢性疲労症候群を患う人は1,500万人~3,000万人居ると推定されています。数字が正確でないのは、多くの慢性疲労症候群を患う人は何らかの精神病と診断されていたり、医療に頼るのを諦めて診療を受けていない可能性が高いから、という事のようです。
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気の病だと決めつけられがちなことの要因として、多くの医師が教育課程で慢性疲労症候群について全く学ばないため知識が不足していること(実際、最初に医師がやることはグーグルで調べることだと専門家が皮肉を言っていました)が挙げられていましたが。ジェニファーさんは、理由は解明されていないものの患者の大部分(86%だったと思います)が女性であることも関係あるのでは?と疑っていました。

『あー、女はヒステリックだからね』というようなメンタリティーがあるのでは?と。実際、男性が影響を受けないことにはお金が出資されないという傾向があることは有名ですよね?確かに、慢性疲労症候群の研究に連邦のお金が殆ど拠出されていない理由は、そんな所にもあるのかもと思わずにいられません。
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とは言え、男性の患者さんもいらっしゃいますし、ドキュメンタリーの中にも写真が大好きで活発に飛び回っていたのに、今では寝たきりになってしまっている男性患者さんも登場していました。この映画を観た後で、「気の病だから」とか、「俺たちだって疲れてるっつーの」とか、「自分に注目を集めたいだけでしょ?」とか言える人は少ないのではないでしょうか?

私自身、全然知識がない病気だったので、患者さん達がここまで苦しんでいるなんて思ってもみませんでした。そしてドキュメンタリーの中で、「慢性疲労症候群を患っている人には軽度の人もいて、一見普通に生活しているように見えたりもします。実際働いている人も多くいて、そういう人達は頻繁に休む人だな…位に思われている可能性が高い」と仰っていたのがとても印象に残っています。
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慢性疲労症候群の患者さんにおける、自殺率は高い傾向があるそうです。それは鬱っぽい人だから病気になったという事ではなく、治る見込みがない事への絶望や社会から置いてゆかれる孤独や恐怖、家族の迷惑になっているという罪悪感、そして社会の偏見に耐えられないという要因があるように見受けられました。

慢性疲労症候群に限らず、体質や健康状態は人それぞれ。いくら自分が健康だからと言って、全ての人がそうであると決めつけないこと。体調が悪い人は自己管理がなっていないからだと思い込まないこと、何でもストレスや精神的な要因のせいであるとアドバイスをしないこと、の大切さを改めて思いました。
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しかしながら、暗くて辛いだけの、説教くさい映画では決してありません。ジェニファーさんが難病に侵されながらも、自分の生きる意味を映画を作ることによって探そうともがき続ける姿に勇気も貰いました。ジェニファーさんに限らず、患者さん達は強くて明るく、何故そんなに前向きでいられるのかと不思議になる程。

是非多くの人に観てもらいたい映画でした。上映してくれる場所を募集しているようですので、上映映画を選べる機会をお持ちの方はいかがでしょうか?知識が身に着くだけでなく、人に対する思いやりも育める内容だと思います。

2017年9月17日 (日)

映画『コロンバス』

霧に覆われている日曜日のニューヨーク。本日の予報は晴れ時々曇り。今は晴れそうもないように感じてしまいますが、最高気温が27℃まで上がるのを見ると昨日の様な気候になるのでしょうか。今日も湿度が高めみたいなので、汗ばむ陽気になりそうです。

今日はハリケーン・ホゼの影響で海が荒れるので海岸には近づかないよう注意が促されています。毎回ハリケーンが近付くとサーフィンに繰り出す人達がいますが、先日それで若い男性が行方不明になったばかり。今回は無謀な事をする人達がいないように祈るばかりです。

ハドソン川沿いに新たなビルが建ちまくっていますが、57丁目に完成したピラミッド型の目を惹くビルの下に8スクリーンある新たな映画館がオープンしました。なんでも座り心地の良い椅子とバーがある最新の映画館なのだとか。映画館が見たくてショーをチェックしましたが、あまり惹かれず。でも近いうちに何か観に行けると良いな・・と思います。
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さて、今回は現在公開している映画『コロンバス』(Columbus)の感想です。
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ベッドバグ(トコジラミ)が問題になってからすっかり映画館から足が遠のいてしまった私。腰の調子がすこぶる悪かったこともあり、ここ数年全く映画を見ていませんでした。映画を見るといったら飛行機の中くらい。家でもカウチがないので、床に座って映画を見ていると腰が痛くて堪らなくなるので、結局見なくなっていました。

そんな私ですが、ボランティア仲間2人が別々にこの映画を推薦してくれたのと、丁度腰の調子が良い時が重なったため、久方ぶりに映画館に足を運びました。調べてみると上映しているのがウエストヴィレッジにあるIFCセンターのみみたいだったので、チケットを予約。
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もう既に上映期間の終わりに近づいているのか、IFCセンターの中でも特に小さい、30人も入れば一杯になってしまう小さな劇場での上映でした。それでも小さな劇場は満席になりました(途中で飽きたのか退席していた人がいましたが)。

監督はこの映画が長編映画デビュー作であるKogonaga氏。今まではビデオエッセイニストや映像エディターとして活躍してきた方みたいです。私に勧めてくれたボランティア仲間達は彼が日本人だと思っていたので私もそう思って映画を観ましたが、映画の主人公は韓国系アメリカ人という設定。帰宅して調べてみると、Kogonaga氏も中西部で育った韓国系アメリカ人だとか。
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今まではご自身の情報を出さずに活動されていたものの、映画の監督ともなるとそうもいかず初めて表舞台に出てきたみたい。Kogonadaという芸名(ペンネーム?なんていうのでしょう?)については、監督が尊敬する小津安二郎監督の脚本家を務めた野田高梧氏の名前をもじったという事らしいです(今朝聞いたポットキャストでそう仰っていました)。

ボランティア仲間が私がきっと気に入ると考えた理由は、私が近代建築やモダンアートに興味があると思っているから。確かに全く知識はありませんし、全然美術館とかに足も運びませんが、興味はありますし。きっと仰らなかったものの、同じ日本人だから興味があるのでは?と考えたのではと推察します。
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2時間弱の映画を観た感想は、一言では言い難い余韻を残す素晴らしい作品だというもの。批評では「小津監督の『東京物語』を彷彿とさせる」という意見が見られますが、私は観たことがないので解りません。ただ、ハリウッド的な作りではない、盛り上がりやアクションに欠ける淡々とした映画で、夫も私も非常に気に入りました。

別にクライマックスが無いからと言って、感情が動かない訳ではありません。それどころか、ずっと心の何処かが痛いような、悲しいような、空しいような、怒り出したいような、何とも言えない重い気分に襲われ続けます。でも、わざとらしい、ここで泣いてください!みたいな音楽も台詞回しもないので、泣きたいのに泣けないような状態で見終りました。そんな所も、日常に似ています。実生活では、なかなか泣けませんからね・・・。
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でも脚本や映像のこま割や撮影手法が凝っていて素晴らしいというのは勿論あるものの、私がこの映画をいたく気に入った主な理由は、建築の使い方でした。本当の主人公は主演の男女ではなく(いや彼らの演技は素晴らしかったですし、主演の女の子はとても説得力があると思ったのですが)、近代建築だといっても過言ではない存在感を放っていました。

大体インディアナ州のコロンバスという町自体、存在を知りませんでしたし。ましてやそんな片田舎(失礼!)に、これほどまで素晴らしい近代建築物群があるなんて。建築物が有する人を癒す効果が映画の鍵として使われていることもあり、建物を今までと違った角度から見たり感じたりするきっかけに成り得る映画だと感じました。
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出てくる街並みや建物があまりにも素敵なので、コロンバスに旅行に行きたくなりました。監督は元々近代建築やモダンアートに興味があり、ニューヨークタイムズ紙が掲載したアメリカの近代建築が楽しめる都市ベスト10にコロンバスが入っていた事に驚き。初めてその存在を知り、興味を持ったと語ってらっしゃいましたが、この映画がきっかけでコロンバスを訪れる人が増えるのではないかと想像します。

私は心に響く素敵な映画を観た後は暫く映画の世界から帰ってこれなくなってしまうのですが。この映画を観た後も、家に帰り着く道すがら夫を放ったらかして黙り込みがちに。確かに人に薦めたくなる、作品でした。ご覧になっていない方は是非。
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2016年2月28日 (日)

映画『シラノ・ド・ベルジュラック』

快晴の土曜日のニューヨーク。今日は1日晴れて、最高気温は6℃。最低気温も2℃と、冬らしくも過ごし易い1日になりそうです。

今朝WEBマガジンの『Gothamist』を読んでいたら、生まれながらのニューヨーカーに質問しよう!コーナー(Ask A Native New Yorker)に「地下鉄の駅でベビーカーを持って困っている親が居たら手を貸すべきですか?」という質問が寄せられていました。質問者は「助けてあげるべきだと思う反面、自分は子供がいないのでベビーカーの構造がよく解っておらず。何かの拍子にベビーカーが閉じたりして子供に怪我をさせたり、子供を階段に投げ出したりしてしまうのでは?と思うと怖くて二の足を踏んでしまいます。またニューヨークの多くの地下鉄駅にはエレベーターもエスカレーターも無いことを十分理解した上で親御さんだって子供を連れて移動している筈。であるならば、手助けしなくてもいいのでは?とも考えてしまう」というお悩みを抱えていました。

回答はシンプルで、「いつでも何かお手伝いしましょうか?と声を掛けましょう。でも断られることもよくあるので、気にしないこと」というもの。実際、乗り物酔いが酷いし、お金も勿体ないし、マンハッタンは散歩が楽しい土地なので、地下鉄を利用する機会が極端に少ない私でも、ちょくちょく階段の下でガサゴソしているベビーカーの親御さんと遭遇します。ニューヨークの地下鉄駅は、本当にエレベーターやエスカレーターが少ないのです。

その際、先ず片親か両親揃っているかを確認し。ご両親が揃っていれば声を掛けません。片親の場合、様子を見て声を掛けるようにしています。大抵の場合、「大丈夫です。1人で登れます」と手助けを断られます。しかし「ありがとうございます。手を貸していただけますか?」と言われた場合でも、殆どの場合はその会話を聞いていた近くを通り掛った男性が代わりに荷物を運んでくれました。

そんな訳で、6年間住んで実際にベビーカーを運んで階段を登った/降りたのは2回だけです。親御さんが男性のみの場合はほぼ100%断られましたし。女性も多くの場合は一人で何とかできると断ります。まぁ、実際一人で何とかできなければ周りに誰も居ない時困るので、何とかできる範囲の荷物で移動されているのでしょう。

でも実際手助けしようとすると、殆どの場合近くの男性が「私がやりますよ」と言ってくれるのが、腰が悪くて中腰での作業が全く向かない私には心底有難く。普段はあまりレディー・ファースト文化を嬉しく思っていないのですが、身体的な部分では違いがある事は否めない訳で。肉体的に弱い部分で騎士道精神を発揮してもらうのは有難いものだと痛感しています。

『Gothamist』の記事では、実際にお子さん連れで地下鉄で移動しなければならない親御さんに向けてのアドバイスも載せられていますので、参考までにご一読されてはいかがでしょうか。
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さて、今回は先日鑑賞した映画『シラノ・ド・ベルジュラック』(Cyrano de Bergerac)の感想です。
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映画は好きなものの全然通でもなければ、知識もない私。この1990年に映画化され数多の賞を取った有名らしい映画も知りませんでした。それを言うならば、原作であるエドモン・ロスタン作の五幕の韻文戯曲も全く知識がありませんでした。

毎週火曜日にFrench Institute Alliance Française (FIAF)で上映されるフランス映画/フランス人監督による映画を、フランス語に触れる為とフランス語圏の文化を学ぶためになるべく鑑賞するようにしているものの。それだけでなく、今週の『シラノ・ド・ベルジュラック』は特に観たいと楽しみにしていました。
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その理由は、以前お世話になっていた先生が私がきっと好きであろうと勧めてくださった映画だったため。いつか観たいと思い続けていたのですが、無制限に映画を観て自堕落な生活をしてしまいそうで怖いし、お金も勿体ないのでNetflixに入っていない状態では観る目途も立たず。半ば諦めていたところでの上映だったのです。

映画は17世紀フランスに実在した剣豪作家、シラノ・ド・ベルジュラックの恋の物語。シラノは類を見ない剣豪であるにも関わらず、とてもロマンチストで言葉が巧み。美しい詩文を生み出していましたが、驚くほど鼻が大きく自分の醜さを非常にコンプレックスに思っていたという設定になっています。
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彼は従妹のロクサーヌに恋をしているのですが、ロクサーヌから自身の部隊にいる剣士に恋をしていると打ち明けられてしまいます。ロクサーヌが恋する剣士、クリスチャンはとってもハンサム。彼もまた劇場で見掛けたロクサーヌに一目ぼれしていたのですが、彼は朴訥なタイプで口下手。洗練され教養高いロクサーヌが望むように恋を囁くことなどできません。

そこでシラノが一肌脱ぎ、愛するロクサーヌが幸せになるためにクリスチャンの恋文の代筆を始めます。ロクサーヌは、美しく情熱的な恋文にメロメロ。言い寄る伯爵等を退け、クリスチャンとの結婚式を強行突破して結ばれてしまいます。
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それに激怒した伯爵は、シラノの部隊を激戦地に送り込み。クリスチャンは差し入れに訪れていたロクサーヌの腕の中で戦死してしまいます。死に際、クリスチャンは「ロクサーヌは僕の心のみを愛していると誓った。どんなに醜くとも、僕の魂を愛しているって。それはすなわち、彼女はシラノを愛しているという事だ。彼女は僕を愛してなんかいない。」と言い残し、絶望の内に命を落とし。

シラノはシラノで、勇気を出しさえすれば。自分の溢れんばかりの恋心を真っ向面からロクサーヌに伝えていれば、どんなに醜い自分でも高潔な魂を持ったロクサーヌは自分を愛してくれたのかもという可能性に気付きながら。結局はその勇気を持てなかった自分だからこそ、愛されなかったのだという苦い現実を受け入れ。死してもなお、唯一の愛すべき伴侶としてクリスチャンを修道院で想いつづけるロクサーヌを見守り続ける。そんな美しくも悲しい物語でした。
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筋書だけ聞くと、いかにも遠い昔に書かれた戯曲っぽいのですが。全編にちりばめられた詩がとても美しく、主演男優であるジェラール・ドパルデュー氏の好演と相まってとても楽しめました。もしもフランス語が理解できたらその美しさを堪能できたろうにと、流れるような台詞の音を聞くだけでも分かり、その点は少し残念でしたが。

映画鑑賞後、「この映画を観るのは2回目だけれど、観てから随分と時間が経ってるから初めて観たように感動したわ。」、「私もよ。以前観た時に凄く感動したのを覚えていたので、今日観るのを楽しみにしていたのだけれど、期待を裏切らない映画よね。詩の美しさったら!」、「他の映画化も観たけれど、私はこっちの新しいバージョンの方が好きなの。」とか口々に言い合ってる方がいらっしゃって、人気の映画だったことが伺えました。
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とても素敵な映画なので、機会があれば是非。

2016年2月 3日 (水)

映画『スパニッシュ・アパートメント』

グラウンドホッグデー(Groundhog Day)の火曜日のニューヨーク。昨日よりは寒いですが、それでも最高気温は11℃まで上がる予報で、1日晴れ。過ごし易い日になりそうです。

今朝スタテンアイランドのグラウンドホッグのチャック君が占ったところによると、今年は早く春が来るそうです。フィラデルフィアに居る有名なグラウンドホッグのフィル君も早い春を予想したそうで、今年はこのまま暖かくなるのかな?とちょっと期待しちゃいます。

昨日は初めての大統領予備選がアイオワ州で行われたので、今朝はそのニュースでもちきりです。共和党はテッド・クルーズ氏が、民主党はヒラリー・クリントン氏が其々僅差で辛くも勝利を収めたとのこと。でも両者ともに三つ巴の様相を呈しているようで、まだまだ予断を許しません。3月頃には前ニューヨーク市長のブルームバーグ氏も立候補するという噂が流れていますし、どうなることやら。個人的にはドナルド・トランプ候補が敗れてくれて、一先ずほっとしています。
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さて、今回はDVDで鑑賞したフランス・スペイン映画『スパニッシュ・アパートメント』(原題:L'Auberge Espagnole、英題:The Spanish Apartment)の感想です。
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この映画は聞いていたポッドキャストで勧められていたので興味を持ちました。特に興味を持ったのが『エラスムス計画』(The Erasmus Programme (European Region Action Scheme for the Mobility of University Students)。

エラスムスは、1987年に開始されたEU域内の高等教育機関の活性化や質の向上を目指したプログラム。でもこの映画が題材としているのは、EU域内であれば自由に単位を持ち帰ることができる留学制度の部分。EU域内であればどこの国の大学でも試験に受かりさえすれば行くことが可能なため、色んな国の生徒が大学に集う事になる様子をよく表わしている、という紹介がされていたので興味を持ったのです。
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主人公はフランス人の経済学を専攻している大学院生であるグザヴィエ。彼はモラトリアム真っただ中で、親の期待が非常に重く感じている様子で。将来コネで入社しようと目論んでいるポジションを得るにはスペイン語の習得とスペインの経済情勢に強くなることが求められると言われ、それらの要件を満たすという目的半分。ここではない何処かに行って職を得て働くという現実から逃げたいという気持半分といった体でバルセロナの大学に1年留学することに決めます。

そこでエラスムスに申し込もうと各種手続きを取るのですが、色んな部署をたらいまわしにされた挙句に最初の部署に戻るというシーンが盛り込まれており、フランスでもお役所仕事は非効率的で、ユーザーフレンドリーではなく、融通が利かない感じが笑えます。
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諸々の手続きを終え、恋人と最後の甘い時を過ごして、単身バルセロナに飛ぶグザヴィエ君。ある程度はスペイン語ができる上に、ご両親の知り合いの家に滞在させて貰う筈が、その知り合いには話が通っておらずいきなり路頭に迷い。仕方なく、空港で知り合ったフランス人ご夫婦の家に居候しながらアパートを探し。

自分の予算で滞在できるアパートを探し求めて、やっと見つけたのが表題になっている学生が折り重なるようにルームシェアしているアパートです。このアパートは家族向けのアパートの部屋に、物置部屋やリビングの一角にまでも男女が住んで家賃を浮かせている状態。勿論違法で、大家さんから再三立ち退きを要請されている、とんでもないアパートです。
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そしてその住人達は国際色豊か。1人の女性はスペイン人ですが、他のルームメイトは全てエラスムスを利用して留学している外国人。イギリス人の女性、イタリア人の男性、デンマーク人の男性、ドイツ人の男性およびベルギー人の女性が確か居て、そこにフランス人のグザヴィエ君が加わった訳です。

皆さん母国語が違うので、結局共通言語である英語かスペイン語でコミュニケーションを図り。大学に行けば、バルセロナがあるのはカタルーニャ地方なので公式言語はカタルーニャ語であるとして、大学教授が頑なにカタルーニャ語で授業をして、スペイン語しか習得していない多くの留学生が弱り切って教授に物申していたり。其々の家族から電話が掛ってくると、電話の脇に置かれている各国語のフレーズを読みながら一生懸命フランス語とかで「彼は居ません」と言っていたり。兎に角、なんでもない日常が興味深くてとても面白く鑑賞しました。
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また育った環境も母国語も全然違う若者が集まって、どんな風にパーティーして、どんな風に衝突して、どんな風に仲直りするのか、もなんだか楽しく。こんな学生時代を送れたら、大変だけどどんなにか楽しいだろう、と何となくセンチメンタルな気分になったりも。

脚本が良く出来ているとか、素晴らしい演技とかいう訳ではないと思うのですが。ヨーロッパの雰囲気が感じられ、EU域内であれば人材の交流が活発で、お互いを手探りで理解し絆を深めていく若者の姿が印象的。国の概念が少し違うように感じられるヨーロッパに住む人々の現実を垣間見れるという意味で、とても楽しめた映画でした。
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とは言え、この映画は2002年の作品。14年が経ち、難民や移民が押し寄せている今とは状況が大きく異なるとは思います。が、理想とするところが垣間見れる作品だと感じました。

2015年10月24日 (土)

映画『シェフと素顔と、おいしい時間』

朝は晴れている土曜日のニューヨーク。ですが時間が経つにつれて雲が出てくる予報です。とは言え雨は降らないそうなので、最高気温が13℃というひんやりした1日に向けて寒さ対策だけすれば良さそうです。

火曜日に巡回中の警察官が何者かに撃たれて死亡する事件が起き、今週はその話題が多くニュースで取り上げられていました。昨日立ち入り禁止のテープも解かれ事件現場は通常の状態に戻ったそうですが、元々治安が悪い地域だっただけに住人は不安を隠しきれないとの事。事件が起きたのは1番街と102丁目にあるアパートですが、イーストハーレム(スパニッシュ・ハーレム)は確かに治安が悪いという印象があります。何度も書くようですが、銃規制が何故進まないのかが理解できません。

アリゾナまで到達したアメリカ横断中の友達カップルが、たまたまセドナを訪れたブルックリンに住む友達と昨日合流して記念写真を撮影。その写真をフェイスブックにアップしてました。前日にセドナに到着した際にアップされた写真を見て、翌日当地を訪れる予定の友達がコンタクトを取り合流が実現した訳です。

先日たまたまSoHoで映像作家でVine動画を制作する会社を興している知人とばったりと会い立ち話をした際に、3か月毎移り住んでいる友達カップルが近々西海岸に移る予定であることを話したばかり。その際に彼も会いたいと言っていたので、アリゾナ州セドナで再開を果たしている写真を見て嬉しく思いました。フェイスブックって便利なんだな、とそこかしこで友人・知人と会う約束をしている彼女達を見ると感じます。
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さて、今回はDVDで鑑賞したフランス映画『シェフと素顔と、おいしい時間』(英題:Jet Lag 仏題: Décalage Horaire)の感想です。
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無事体調も落ち着いてきて秋から学校に戻った事ですし、またなるべく映画を観るように努力する生活に戻りました。前よりゆっくり進むコースにしたり、また最近ずっと風邪をひいたりで前ほど真面目に勉強できていませんが…。まぁ、焦らず続けることが大事だよねということで、DVDを借りてきて夫と週末のんびりと鑑賞しました。

この映画は短いラブコメなので借りただけで、何の前情報も知らず。ストーリーだけ読んで簡単な会話が多いのかな?という期待の下に観ただけなので、主演がジュリエット・ビノシュ氏とジャン・レノ氏であることも全然知りませんでした。
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そのため物語の中盤、厚い化粧を落とした主人公の女性が部屋に入ってくるシーンで初めてビノシュさんだと気付いて驚きました。その位印象が全然違います。そしてジャン・レノさんに関しては、このブログを書くためにウィキペディアを読むまで気付いていませんでした。長い髪で無精髭を生やし、情けなさ全開で演じている姿は今までの印象を大きく裏切るものでした。でもそれは違う見方をすれば、2人とも非常に役になり切っていたともいえる訳で。何処からどう見ても、人生に打ちのめされた、アンハッピーな、でも気は優しい人でした。

物語は全編たったの2日間。パリのシャルル・ド・ゴール空港でストライキにより足止めを食らった多くの人に混じって2人がたまたま居て。ビノシュ演じるローズが電話中に携帯電話をトイレに流して困っている所に、たまたまアメリカ在住の元シェフであり現在は冷凍食品会社を経営するレノ演じるフェリックスが携帯片手に通り掛り。ローカルコールなので電話を使わせてと頼むところから物語はスタート。
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結局全てのフライトがキャンセルされ、人々は空港に足止めされることに。ファーストクラスの乗客であるフェリックスは空港内のヒルトンホテルに案内されますが、ローズは空港内のベンチに横になって寝る体制。それを看過できず、フェリックスは自分の部屋にローズを誘います。

そこから手探りでお互いの事を知り、頻繁にかかってくる電話での会話や、ローズが元彼と空港で口論していたのをフェリックスがたまたま止める形になったことから、2人はお互いの事情を何となく理解していき。ローズが長年同居していた男性から逃げてアカプリコに移住する予定である事、そしてフェリックスが別れを切り出された恋人に追いすがっている事をお互いに攻撃し合い。
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結局もの別れになってローズが部屋を出て行こうとタクシーに乗り込んだところで、フェリックスが追いすがってきて、2人でホテルの厨房でフェリックスが作った料理に舌鼓を打ちながら腹を割って話をします。そして紆余曲折を経て、服を着たまま寄り添って眠りに落ちるような仲となります。でも翌日、2人は何もなかったかのごとく別れ。ローズはアカプリコに辿り着き…。というお話。

たった2日のお話ですし、登場人物もほぼほぼ主人公の2人だけ。舞台もほぼ空港と隣接するホテルだけ。あまりハリウッド映画では見られない設定な気がしますが、日本人にはしっくりくるものが。なんてことない内容ですが、会話が面白く、役者が好演しているので最後まで楽しく鑑賞できました。とても短いですし。
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個人的には2人が自暴自棄になっていた時期であるとしても、自分の人生設計を変更する位惹かれ合うようになる過程が今一つ腑に落ちず。まぁ、私は夫についてニューヨークに来ることにも抵抗を感じた位、自分の予定を人の為に変えるのが嫌いな性質なので余計にそう思うのかもしれませんが。軽いラブコメとして楽しんで見れたものの、現実味は全く感じなかったというのが本音です。

疲れた週末に夫と家でのんびりDVDで観る分には2人で「面白かったね」と言い合えましたが、わざわざ劇場に足を運んで1,800円とか払っていたらちょっと脱力したかもしれません。またフランス語が早口で難しく、全然聞き取れませんでした。まぁ、それは私が勉強をサボってばかりで耳が慣れていないだけかもしれません。
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酸いも甘いも知った大人になってから見た方が楽しめる映画だと思います。

2015年7月23日 (木)

フランス映画『五月のミル』

雲一つない快晴の水曜日のニューヨーク。今日は最高気温は約29℃。湿度も低めで雨の心配もなく、気持ち良い1日になりそうです。

今晩10時にJFKで、明日の午後6時にラガーディアで、其々デルタ空港の職員が一斉にストライキに入るそうです。セキュリティーや荷物を取り扱う人達約1,000人がストライキをするそうなので、デルタで移動予定の方は事前に確認を取った方が良さそうです。
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さて、今回は昨日観た映画『五月のミル』(原題:Milou en mai、英題:May Fools)の感想です。
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以前も書きましたが、60丁目にあるフランス語圏の文化を紹介する団体『French Institute Alliance Française』に併設されている劇場『Florence Gould Hall』では、毎週火曜日の午後4時と午後7時半の2回、映画が上映されています。FIAFのメンバーであれば無料で観ることが可能ですが、そうでなくともチケットを購入すれば普通の劇場と同じように映画が鑑賞できます。

8月から9月の頭にかけて夏休みで映画の上映が一時中断されるそうなので、来週がシーズン最後の上映となります。今月はルイ・マル(Louis Malle)監督作品の特集が組まれています。
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昨日の上演作品は、1990年のフランス映画である『五月のミル』。1968年に起きたフランスの五月革命の最中にプロヴァンスのジェール県という片田舎で起こる人間模様を約4日に渡って描いている作品です。

たった4日間で、舞台もほぼ映画の冒頭で亡くなるヴューザック家夫人の邸宅とその周辺に限定されており、人間模様が濃密に描かれています。故人の亡骸の前で相続争いを繰り広げたり、邸宅を残すかどうかで揉めたり、故人の持ち物を他の人が到着する前に盗んだり、配偶者や恋人の目の前で他の人と親密になったり、かと思えば飲めや歌えや踊れやのりたい放題。
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閉鎖空間の中での濃密な時間に加えて、1968年の5月革命の様子がユーモアを交えて描かれてもいて、世界中の学生運動の引き金となった5月革命を知らなかった私には非常に興味深く感じられました。

博愛主義で性に大らかなヒッピームーブメントもフランスが発祥だったのが感じられますし、その頃の社会主義・スターリン主義・毛沢東主義に感化された学生の熱意や、自由と平等を謳いながらその実それを口実に働くことを拒否する愉悦を覚えたように見える労働者の様子が、皮肉とユーモアを交えて描かれていてとても面白かったです。
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会場からは絶えず笑いが起きていましたが、それだけに終わらず他国の歴史や文化を楽しみながら学べる良作だと感じました。機会がありましたら、お勧めしたい映画でした。

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